板金加工の依頼では、2DCADと3DCADのどちらを使うべき?
最終更新日時: 2024/04/10 16:01
日本の町工場ではまだまだ2DCADが主流ですが、実際のところ板金加工を依頼する際、図面の作成には2DCADと3DCADのどちらを使うべきでしょうか。この記事では 、2DCADと3DCADの特徴を比較し、板金加工の依頼に適したCADの選択方法について解説します。
2DCADの特徴
2DCADは、平面上に図形を描画するCADシステムです。以下のような特徴がありま す。
- 操作性:2DCADは、比較的シンプルな操作で図面を作成できます。習熟に要する時間が短いのが利点です。
- データ容量:2次元の図形情報のみを扱うため、データ容量が小さく、処理速度が速いです。
- 互換性:DXFなどの汎用的なファイル形式で保存できるため、他のCADとのデー タ互換性が高いです。
- コスト:2DCADは、3DCADと比べて安価で導入しやすいです。
3DCADの特徴
3DCADは、立体モデルを構築するCADシステムです。以下のような特徴があります 。
- 可視化:3次元モデルにより、製品の形状を立体的に確認できます。設計の誤りを早期に発見できます。
- 干渉チェック:部品間の干渉を自動的にチェックできるため、設計の品質が向 上します。
- 解析との連携:3DCADデータを利用して、強度解析や公差解析などを行うことができます。
- 加工データの作成:3DCADデータから、曲げ展開図やNCデータなどの加工データを自動生成できます。
板金加工の依頼に適したCADの選択
板金加工の依頼に適したCADの選択は、以下のような観点で判断することができます。
2DCADが適している場合
- シンプルな形状の製品で、立体的な確認が不要な場合
- 短納期で図面作成が求められる場合
- 加工業者が2DCADに習熟している場合
- コストを抑えたい場合
3DCADが適している場合
- 複雑な形状の製品で、立体的な確認が必要な場合
- 部品点数が多く、干渉チェックが必要な場合
- 強度解析や公差解析が必要な場合
- 曲げ展開図やNCデータの自動生成が求められる場合
ただし、3DCADを使う場合は、以下のような点に注意が必要です。
- 3DCADの習熟に時間がかかる
- データ容量が大きくなり、処理速度が低下することがある
- 3DCADのソフトウェアが高価である
板金加工業者とのコミュニケーション
板金加工の依頼では、図面の作成だけでなく、加工業者とのコミュニケーション も重要です。2DCADと3DCADのどちらを使う場合でも、以下のようなポイントに注 意しましょう。
- 加工業者のCAD環境を確認する:加工業者が使用しているCADの種類やバージョ ンを確認し、互換性のあるデータを提供します。
- 図面の表記方法を統一する:寸法の記入方法や公差の表記方法など、図面の表 記ルールを加工業者と合わせておきます。
- 加工上の注意点を明記する:材料の種類、表面処理、寸法公差など、加工上の 重要な情報を図面に明記します。
- 加工方法を確認する:曲げ加工、溶接、塗装など、加工方法や手順を加工業者 と確認しておきます。
加工業者とのコミュニケーションを密にし、図面の内容や加工方法について共通 理解を得ることが、高品質な板金製品を得るための鍵となります。
まとめ
板金加工の依頼では、2DCADと3DCADのどちらを使うべきか、製品の形状や要求事 項に応じて適切に選択する必要があります。シンプルな形状の製品で短納期が求 められる場合は2DCADが適しており、複雑な形状の製品で解析が必要な場合は3DCADが適しています。
ただし、CADの選択だけでなく、加工業者とのコミュニケーションも重要です。CADデータの互換性や図面の表記方法、加工上の注意点などを加工業者と確認し、共通理解を得ることが求められます。
2DCADと3DCADの特徴を理解し、製品要件と加工業者の状況に合わせて適切なCADを選択することが、高品質な板金製品を効率的に製造するための第一歩となります 。